遊園地は眠らない
「え?」

萌絵が体を乗り出して外側を見た。

駿も気づいたみたいで、
「あっ、夢くん」
と言った。

夢くんは、さっきと同じように愛想よくくねくねと体を動かしている。

時折手を振ってこっちを見ていた。

「おい! お前っ」
雅哉が降りようとするが、さすがに回転も上がってきていて危険だ。
「そこにいろよ!」

「夢くん! そこにいてっ。助けて!」

七海も大声で叫んだ。

声が泣き声になっている。


しかし、夢くんは聞こえていないよう。

両手でまるで「バイバイ」と手を振ると、そのまま歩いていこうとする。

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