遊園地は眠らない
目が覚めた時、そこには駿の顔があった。

普段ならうれしすぎる出来事も、今は現実を思い出させるためのツールにしかならない。

「咲弥ちゃん、大丈夫か?」

駿が名前で呼んでくれた。

夢にまでみた光景。

「起きられる?」

「うん…」


そこはメリーゴーランドではなかった。

すぐそばにあったベンチに座らされていたみたい。
いつの間に目が覚めたのか、萌絵が地面にうずくまって泣いている。

「駿くん…」

「悪かった。俺が吐いたもんだから、あんな七海の姿を見せちゃって」

「ううん」
首を必死で横に振った。
「私こそ、ごめん」
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