遊園地は眠らない
無表情な萌絵は、そのまま黙って宙を見ていた。

うつろな目が雅哉に向けられたかと思った次の瞬間、彼女は突然ケタケタと笑いだした。

「キャハハハ」

取りつかれたように、声を上げて笑っている。

「…やめろよ」

雅哉が静かに言った。

それでも萌絵はやめない。

「ヒャーッハッハッハ」

奇声を上げて笑い続けている。

「やめろって!」

雅哉が平手打ちを放った。

乾いた音とともに、萌絵が地面にすべるように倒れた。

「…やめろよ」

萌絵はズルズルと起き上がると、ゆっくりと雅哉を見た。


体をゆらゆらと揺らしている。
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