遊園地は眠らない
ふたりの距離は10メートルもない。

もう余裕なのか、雅哉はゆっくり歩いてゆく。


「私戻らないっ。こんなところにいたら殺されちゃう! 夢くん、お願い、助けて!」


夢くんは、片手を口に当てて大きくうなずいた。

「お前、余計なことすんなよな。これは俺たちチームの問題なんだからな」

雅哉の声に、萌絵がキッとそちらを見る。

「なにがチームよ! あんたがお金がほしいだけじゃないの!」

「何とでも言えよ。萌絵、ほら戻るぞ」

「イヤっ! 助けて!」


その時、私は夢くんがもう片方の手をゆっくり上に上げるのを見た。


照明に照らされて、その手に持っているものが光る。

それに気づいた萌絵が、そちらに目をやった。

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