遊園地は眠らない

夢くんはさらにまた、萌絵の体にナイフを降ろした。

もう、萌絵は叫ぶこともせずに、体をガクガク揺らしている。

さらにもう一度。

簡単に体に吸い込まれるナイフ。

「やばい、逃げよう」

駿が叫ぶが、雅哉も私も動かない。

いや、動けないのだ。

今起きている事が、現実のものではないと思える。

夢くんが右手でナイフを持つと、萌絵の体を足で蹴った。

もう、萌絵は動かない。

夢くんは片手を口に当てて、まるで上下に体をゆらす。

まるで、笑っているみたいに。


その顔が私に向く。


萌絵の体を越えると、そのまままっすぐ私に向かって歩いて来た。