遊園地は眠らない
鏡だらけの部屋では、方向感覚がおかしくなる。

先に道が見えたとしても、それは今歩いている道が映っているだけだったりした。

突然自分の姿が映って、「うわ!」と、雅哉が驚いている。

目が回りそう。

なるべく鏡をみないようにして、駿の後ろ姿だけを見て歩いた。

しばらく進むと、ソファがある部屋に出た。

紫色のソファ。

壁には絵画が飾られている。

紫色の枯れた花の絵。

趣味が良いとは思えない。

この先は3つの道に分かれていた。

「どうする?」

駿が言うと、
「右」と、迷いなく雅哉が進む。
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