遊園地は眠らない
先の方にいるのは、私たちと同じ制服を着た少女。

長い髪で、その表情は見えない。

ゆっくりと足をひきずるように歩いている。

「下沼さん・・・?」

そうつぶやくと、聞こえていないはずなのにその少女が少し笑ったように見えた。

「おい、やばいぞ」

駿が鋭く警告した。

「あれが・・・下沼?」

まだぼんやりしたような声を出した雅哉が首をかしげる。


少女は体を左右に揺らしながら、ゆっくりこっちに近づいて来る。

何枚かガラスがあるからここには来られないはず。

だけど、言い知れない恐怖が体を支配する。

「雅哉、逃げるぞ」

駿の声にも雅哉は動かない。

じっとその少女を見つめている。
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