遊園地は眠らない
前をゆく駿が泣いている。


力なく肩を落として、雅哉が死んだことにショックを受けている。

なにか言葉をかけたいけれど、なにを言えばいいのか分からない。

こんなときに勇気があればいいのに。

そんな私に、駿は時折振りかえって、
「大丈夫?」
と、聞いてくれる。


私なんかどうでもいいのに。


駿は優しい。

こんな状況じゃなかったら、ふたりで遊園地を歩くなんて夢のような出来事なのに。

正直、雅哉たちには私もイヤな思いをさせられることもあったから。
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