遊園地は眠らない
だから、悲しいという感覚はまだない。

それでも、大好きな人が悲しんでいる姿はせつない。


悲しみは伝染するのかも。


ねぇ、駿。

あなたが悲しいと、私もこんなに悲しいよ。

園内のBGMは、相変わらず同じ曲を繰り返し流している。


・・・今、何時ごろだろう?


もう何時間もたったような気もするけど、まだ空は暗い。

朝の訪れは、どこにも感じられなかった。

ふと、駿が立ち止まる。

そのまま動かないので、横に並んだ。

「どうしたの?」

声をかけると、駿はゆっくりと私を見た。

「今ってさ、夏休みだよね?」

「うん」

そう答える私に、駿はまた何かを考えるように目を細めた。
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