遊園地は眠らない
やがて、長い腕が駿の座席をつかんだ。

続いて現れる顔。

真っ青な顔の少女・・・それは。


「下沼!」


もう呼び捨てで駿は叫んだ。

下沼さんは、手を伸ばすと駿の胸にあるU字固定バーをつかんだ。

「や、やめろ。やめろぉ!」

めちゃくちゃに腕を振り回して抵抗する駿。

それを受けながらも、その手が黒いバーを持ち上げようとする。

「や、やめてくれよ! おい、おい!」

その声が私に向いている。

「咲弥、やめさせてくれよ。俺が悪かった。だから、助けてくれよ!」

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