遊園地は眠らない
横を見ると、もう下沼さんの姿はなかった。

「・・・痛ぇ。痛いよぉ・・・」

小さな声。

まだ、駿は生きているようだった。

レールの上でもがいている。

必死で体を起こそうとしているが、すぐに崩れる。

モーターの音がどこからか聞こえた。

車体がゆっくり動き出す。

駿が顔を上げる。

そしてこちらを見た。

「・・・やめろ・・・」

弱々しく声を出しているのが口の動きで分かった。

顔は血だらけで、足が変な方向に曲がっている。
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