遊園地は眠らない
自分の両手を見る。

ロープのあとがくっきりと残って、内出血していた。

「助けて・・・くれたの?」

夢くんは立ち上がると、ゆっくりと出口へ歩いてゆく。

口についた嘔吐物をぬぐいながら、それを見送る。


ふと、夢くんが振り向いた。


おいで、おいでをするように、手をゆらゆら振っている。

「・・・」

意味は伝わるが、体が動かない。

しかし、夢くんはその動作をやめない。

「ついて来い、ってこと・・・?」

そう言うと、夢くんは大きくうなずいた。
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