遊園地は眠らない
「おい、行こうぜ」

雅哉が今にも駆け出しそうになるが、
「待ってください」
それを紗栄子が制す。

「あ?」

「やっぱりおかしいですよ、これ」

「なにがだよ」

あからさまに不機嫌な声で雅哉がにらむ。

紗栄子は慣れているのか、意に介さずにスタンプカードを見せる。

「このスタンプカード、あまりにも安っぽくないですか? それに、乗り物に乗るだけって、簡単すぎませんか?」

「んなの知るかよ」

雅哉の声色が低くなる。


よく教室でもこういう声を出すときは、必ず誰かがからまれる運命にあった。

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