遊園地は眠らない
中にはなんにも入っておらず、上部のガラスにマジックで『ここにスタンプカードを置いてください』と、手書きで書いてあった。

みんなバラバラとそこに置く。

風でも吹いたら飛んで行ってしまいそうだ。

700万円もの賞金のわりには、いろいろとしょぼい印象はぬぐえない。


鉄塔の周りを囲むようにふたり乗りの椅子がいくつも並んでいる。


「勝手に乗っていいんだよね」

七海が誰にともなく聞きながら、正面の椅子に座った。

横に雅哉がドカッと座る。

続いて、その後ろの椅子に陽菜がひとりで。

「あれ? 陽菜ひとりなの?」

七海が振りかえって聞くが、陽菜は、
「まあね」
と珍しく不機嫌そうな返事をした。
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