遊園地は眠らない
そんなことを考えながらも、陽菜のことを考える。

取材という形でも、誰かに話をすることで、昨夜の光景がリアルに思い出されていた。

「どうぞ」

いつの間に戻ったのか、藤森さんが紙コップを私の前に置いた。

「ハーブティーよ。気持ちが落ち着くから」

「ありがとうございます」

再び藤森さんも目の前に座る。

「遊園地ってね…」

「え?」

顔を上げて尋ねると、藤森さんは照れたような表情をした。

「ただの雑談。実は私、遊園地ってほとんど行ったことがないのよ」

「そうなんですか?」
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