噎せかえる程に甘いその香りは
1*[f]green

【side 仄】



「………ん。」

まだ日の明け切らない時刻。

目の覚めた私はゆっくりと起き上がった。

そっと視線を落とせば隣には無防備な寝顔を晒して寝ている彼。


販売促進課の課長である長谷川葵さん。


結構大手で社員数も多いあの会社で、31歳という若さで課長を務める彼はとても仕事の出来る人だ。

優秀なのは仕事だけじゃない。

その容姿もすこぶるつきで、仁徳もあり上司には信頼され、部下にも慕われている。

そんな人と営業事務の地味な私が関係を持って早一年。

その奇跡みたいな関係の裏には実は人に言えないようなカラクリがあった。

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