噎せかえる程に甘いその香りは

それから三日―――


「お疲れさん」


ようやくトラブルが解決した。

俺の労いに田中と共に並んでいた江角が頭を下げた。


「申し訳ありませんでした。完全に僕の確認不足です。」


彼はチームのリーダーを任せているうちの一人だ。

一件目の発注ミスは江角の下に付けている新人が起こした単純な入力ミスだった。

俺は江角の肩を叩いた。


「オマエだけの所為じゃない。結果的に見過ごした俺の責任だ。」


江角が出来る男だからそれに任せっきりで安心し切っていた俺も悪い。

俺の言葉にいっそ落ち込んだ顔をして見せた江角に俺は慌てて言い募る。


「や、もうオマエに安心して任せられないって意味じゃない。ただ、防ごうと思えば防げる単純ミスだから……これを良い教訓にこれからは今まで以上にチェックを入念にしていこうって、な?」


その言葉に顔を上げた江角に笑いかける。


「俄然頼りにしまくってるから。気持ち切り替えて頑張ってくれなきゃ困る。」


江角は噛み締めるように「はい」と頷いた。

もう一件のトラブルはいっそ仕方がない。

運搬会社が事故に巻き込まれて商品が壊れてしまった為の納入遅延だもんな。


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