噎せかえる程に甘いその香りは
オマエ等が俺の事を自慢の上司だって思ってくれている以上に、俺はオマエ等を最高の部下だと思ってるよ。
それは仕事上の話ばかりじゃなく人間性と言う意味でも。
まだ威厳には程遠い俺みたいな上司に付いて支えてくれて。
イイ仲間と出会えて嬉しいよ。
しかし面前と褒め合うには気恥かしい年頃の男三人。
微妙な空気を改めるべく江角が話しを戻す。
「まぁ、そう言ったワケで…。仕事がデキル男も結構ですがあまり放置が過ぎると逃げられますよ。煩わせた僕が言う事じゃありませんけど。」
「そうっすよ。大体、課長、最近彼女と揉めてんじゃないっすか?仕事の合間にメール確認する様が必死ですよ。」
…………ホント、恥ずかしいくらいバレバレだ。
「あ~…うん。じゃ、お言葉に甘えて。また改めて誘わせてもらう事にして今日は早めに切り上げさせてもらうな。」
「はい」と頷く二人。
不図続けたのは何気ない思い付きなのだが…
「ところでオマエ等は彼女いるのか?」
「俺は居ます」と応えたのは江角で田中に至っては「最近別れたばっかりっすよー。」…らしい。
田中は悪びれずカラカラ笑う。
「いやぁ~、今はまだいいっすね。会社で水守さんとか見て癒されてれば十分かなぁ~。」
ごめん、田中。
オマエのオアシス、直ぐにでも俺が掻っ攫うから。