文学少女と甘い恋
「んー、体もちっちゃい。いい匂いがする」
「な、ちょっ、」
右手はそのまま、甘樫くんはきゅうっと左腕でわたしを抱きしめる。
甘い香りに頭がぐらりと傾いた。
「や、やめて下さ……」
散らばった理性をどうにかこうにか集め。
小さく抵抗するけどびくともしない。
まぁ本気でいやだと思っていないからかもしれないけども。
「ねぇね、知ってた?」
「、は?」
何を?
目的語が抜けているその質問に思わず間抜けな声が出た。
「オレってけっこー分かりやすいんだって」
「はぁ……」
一体なんの話が始まったのかと、抵抗も忘れて甘い声に耳を傾ける。
「一人の子に向ける笑顔とか、他の子と違ってぜーんぜん甘いの。サービス満点なの」
「……そうですか」