文学少女と甘い恋
なんか、ぐさっときた。
その一人の子って、甘樫くんにとって特別な子……ってことだよね。
そういう子、いたんだ。
あぁ……わたしは俗にいう失恋というものを味わってしまったらしい。
それでもこの想いは消えないのだから恨めしい。
「分かってないなぁ」
くすくすという笑い声がわたしの耳に届く。
頼むから心臓落ち着いてくれ。
「全然気づいてくれないなぁ」
「……じゃあもっとアピールしてみてはどうですか」
もはやどうにでもなれ、という気持ちで言ってみたけど。
……わたしは何をアドバイスしているんだ。
まだ見ぬ敵に塩を送ってどうするよ。