文学少女と甘い恋
呼ぶ? 何が、何を? なんで?
今まで通り名字でもいいんじゃ……や、嬉しいけども。
目をしばたたかせるわたしに対し、甘樫くんはゆったりと、甘く、甘く微笑む。
そして近づいたかと思えば、唇にマシュマロのような感触がして。
「初めてこんなに長くいっしょにいるから、我慢できなくなっちゃった」
ふふ、と笑い、再びそれが触れる。
甘い、甘い、極上の美酒のような、はたまた毒のようなそれに、顔が熱くなる。
「ふふ、ゆゆ、かぁわいい」
「な、にを、言って…」
「好きだよ」
からかうのはやめて下さい、と口にしそうになった言葉が、頭の中で弾けとんだ。
代わりに出たのは
「…………へ」
というなんとも間抜けな声で。
「やっぱり、気づいてなかったよねぇ」
「は、え…と……?」