文学少女と甘い恋
頭が、働かない。
真っ白で何も考えられない。
好き? 誰が? 甘樫くんが? 誰を? わたしを?
……意味が分からない。
「ゆゆー?」
甘樫くんに呼ばれてはっとなる。
どうやらわたしは自分の世界にトリップしていたらしい。
「ゆゆのこと、ずぅーっと好きだった」
サラリ、右手がわたしの髪をすく。
甘い光を湛えた瞳に見つめられ、金縛りのように体の自由を奪われる。
「その瞳も、視線も、声も、笑顔も、全部オレに向けてほしいってずぅっと考えてたんだよ?」
「っ……」
甘い……甘過ぎる。
これはいきなり刺激が強過ぎる。
もはや劇薬だ。