文学少女と甘い恋
……この気配に頭が狂いそうになるんですけど。
意識をそらせようとわたしは慌てて口を開いた。
「甘樫くんは、本読まないんですか?」
「んー、眠くなるからねぇ」
つまりは読まないのか。
人生の半分を損しているぞ。
…………ん?
「じゃあ、なんで甘樫くんはここに来たんですか?」
ただたんに気まぐれ?
確かに本を読まなくても静かにのんびりしたいのならここはうってつけだ。
でもそれなら新しい図書室の方が快適なはずだけど。
うーん、と考えていると、ふっと笑うような気配がして。
その息がどこか色っぽく、ドキリと心臓が跳ねる。