線 香 花 火
誕生日の夜
「線香花火しよっか。」
彼は、そう言ってコンビニの袋から線香花火をチラリと見せた。
それに、私は笑顔で頷いた。
車から降り、バンッと車のドアを閉める。
「いつのまに買ったの?」
彼の腕に絡み付きながら、私は尋ねた。
「ちぃがマヌケ面して寝てる間。」
「ひっど〜い!マヌケ面してなんかないもん!!」
ハハッと彼は笑って、私の頭をポンポンと叩いた。
むぅ…と膨れる私に、彼は目を細めて「可愛かった。」と言った。
「…本当?」
私が訊くと、彼は「本当。」と言って、優しい笑顔を向けた。
私の膨れっ面は、いつのまにか綻んでいた。