線 香 花 火
「今日は夏樹の誕生日なのに、何で夏樹がサプライズしてるの?」
クスクスと笑って、私は花火セットを取り上げた。
「…ちぃが居れば、俺はそれで充分だよ。」
夏樹の顔は、少しだけ苦しそうだった。
ただ、私にはその言葉が嬉しくて。
夏樹の表情を、気にも止めなかった。
手を伸ばして、彼の大きな体にすっぽりと収まる。
「夏樹…誕生日、おめでとう。」
上を向き、口づけを交わす。
それはいつもとは違う、誓いの口づけのように神聖なものだった。