線 香 花 火
「どれからやる?」
夏樹が花火セットを開けながら訊いてきた。
「これかな!」
「…やっぱ線香花火は最後だよな?」
そう言う夏樹に、私は「そうだね。」と言って、早くロウソクをつけるよう急かした。
「…はい、オッケ!やっていいよ。」
夏樹のGOサインに、私は「わ〜い!」と言って、花火をロウソクに近付けた。
シュー…と、白っぽい光が、花火の先端から出てきた。
ロウソクから花火を離し、ぐるぐるぐる、と花火を回した。
「ちぃ、危ないだろ!火傷でもしたらどうすんだよ。」
夏樹は、こういうことにいちいち説教たれるところがある。
それが少し疎ましかったのは事実だった。