甘い王子様の愛しい人
ちなみに、学校中のほとんどの生徒はオレの気持ちを知っているはず。
それで応援してくれる人もちらほら。
なのに、ただ一人気づいてない人がオレの好きな人って……
そんな鈍感なところもたまらなくかわいいけど。
「甘樫くん」
高く澄んでいて、どこか凛としている声にぴくりと体が反応する。
「あの、このプリントの答えって出ましたか?」
「んー、どれ?」
内心ドキドキしながら雨宮さんの持っているプリントを受け取り。
うわぁ、雨宮さんの字かわいいなぁ、なんて考える。
「あー、これね。出てるよ。よかったら教えよっか?」
舞い上がった気持ちと、断られたらどうしようという不安を隠してプリントを返す。
雨宮さんの瞳がオレを映している。
少し迷うようにゆらゆらと視線がさ迷い。
「……じゃあ、お願いします」
おずおずというように少し上目でお願いされて。
オレは嬉しくて嬉しくて、にっこりと笑った。