甘い王子様の愛しい人
「ここはこうして……」
「あ、なるほど」
机に向かって問題に集中している雨宮さんを上から見つめる。
先に言っておくけど、オレが立っているから自然にこうなっちゃうだけだよ?
あぁ……近いなぁ。
手を伸ばせば届きそう。
触れられそうな距離に体がうずうずする。
サラリ、と風が雨宮さんの髪を揺らして。
その拍子に爽やかなシャンプーの香りがあたりに漂った。
うわぁ、と思わず祈りたい気分。
綺麗な黒髪から、白くて細いうなじが見える。
あぁ、触れたい。
唇を這わせて、その感触を味わいたい。
赤い花を咲かせたい。
オレのだって印をつけたい。
悶々とそんなことを考えて、理性がどこかへいってしまいそうになる。
「解けました」
その声にはっとして思わず手を引っ込めた。