甘い王子様の愛しい人




今まで聞いたことのないような弱々しい声に思わず目を丸くする。



次の瞬間見た彼女の顔に、抱きつきたいぐらいの衝動が身体中に走った。




うろうろと視線をさ迷わせている瞳は潤んでキラキラしていて。



困ったように眉が下がっている。



いつもは白い肌にはほんのりと赤みが差していて。



初めて見たその表情に釘付けになった。




(ちゅーしたい……)




まずは優しく、その瞼に唇で触れて。



染まった頬を食むようにして。



仕上げにぷっくりしたかわいい唇を塞いで。



きっとわたあめみたいに甘くて、ふわふわしてるんだろうなぁ……



ふふ、とこらえきれない笑みが浮かぶ。



あぁ、もう好き、ほんと好き。



彼女の全てが、オレを虜にさせる。





その髪も、瞳も、頬も、声も、唇も



ぜんぶ、ぜーんぶ




―――オレにちょーだい?









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