甘い王子様の愛しい人
その願いはすぐに現実になり。
オレの腕の中には愛しくて愛しくてたまらない彼女。
きゅう、とその存在を確かめて顔を肩に埋める。
爽やかなアクアソープの香り。
近くで感じるそれに、鼓動が速まる。
「くすぐったいですよ」
「だってー、ゆゆ、いい匂いー」
「甘樫くんの方がいい香りです」
そうかなー?と自分で確認してみるけど。
うん、やっぱりゆゆの方がいい匂いだと思う。
「前から思ってたんですけど、甘樫くんの香りって特徴的ですよね」
すんすん、とオレの制服に鼻を近づけて、確かめるような仕草にきゅんと心が鳴る。
ほんとかわいい。
ちっちゃくてふわふわした猫みたい。
あぁもう、かわいいなぁ。
「この匂い、すき?」
「うっ…な、なんの香りなんですかっ」
「あ、ごまかしたー」
「うるさいですっ」