チョコレートと甘い罠
「‥‥これさ、手作りだろ?」
優しい声が耳元で響く。
「そ、それが何よっ。」
「‥‥期待するよ?」
「へっ?!」
「俺と今野が同じ気持ちだって、思うよ?」
「‥‥なっ何よ。佐野の気持ちって‥‥。」
ドキドキバクバク。
心臓がうるさい。
この心臓の異常な動きの理由。
なんとなく気づいては入るのに、なんでだろう?
「‥‥好き。美穂、ずっと好きだった。」
「っ。」
ギュッと佐野の体を抱きしめる。
恥ずかしくて、でもなんだか心があったかくて。
この気持ちは何?
「美穂。こっち向いて?」
ゆっくりと顔を上げる。
そこにあったのは優しい笑顔で、キュッと心臓が痛い。
「美穂、お前の気持ち聞かせてよ。」
「‥‥す、す。」
「うん。」
「好きだ!!ば‥‥っ!」
“ばか”そう言おうとした。
けど、それはもう言えなくて。
私の口は何か、暖かいものに包まれていた。