チョコレートと甘い罠
「お前さ、チョコ誰かにあげたりしねーの?」
それでもお構いなく話しかけてくる佐野。
仕方ないから答えてやることにしよう。
「あげない。私はもらう専門だって、佐野だって知ってるでしょ。」
そう。
私はバレンタインはもらう専門。
大好きなチョコレートを貰えるのだし、その好きなチョコレートを誰かにあげるくらいなら、私が食べた方がいい。
そんなひねくれた思考をしているのだ。
自分でいうのもなんだけど…。
「…確かにそうだけどよ。」
不服そうに、口を尖らせる佐野。
こいつとは中学に入学してからの3年間、ずっと一緒のクラス。
だからこいつも私のチョコ好きはよく知ってる。