チョコレートと甘い罠
「なんでもない…。」
少し悔しくて、また顔をそむける。
けど、そんな私を益々怪訝そうに見つめ返してくる。
「…今野ってさ。」
少し黙ったと思ったら、今度は真面目な顔して、真剣な眼差しを送ってくる。
(?今日の佐野はなんか変。)
って、少し呑気にそんなことを思ってたら、爆弾発言をされた。
「今野、俺にバレンタインのチョコくれ。」
「……は?」
意味がわからない。
なぜ急にそうなった?
「え?どういうこと?」
混乱した頭の中で、必死に言葉を返す。
「俺、お前と高校違うしさ、もらえるの今年しかないだろ?」
「ま、まぁ…そうだけど…。」
「だから、ちょうだい。」
いや!だからなぜそんなことに!?
「あっ、あげないよっ!!私もらうの専門だって言ったでしょ!?」
自分でも、なんでこんなに動揺しているのかわからない。
ただ、なんとなく、この突然のびっくり発言に、胸が痛いのは覚えてたーーー。