チョコレートと甘い罠
甘い罠
バレンタイン当日。
結局あのあと必死に拒んでいたら、先生が来て、話はそこで終わった。
「はい!美穂!!チョコレート♪」
「わぁ!!ありがと〜!!!」
私の机には、受験が終わった子達しかもらえなかったけど、それなりの量のチョコレートがたくさん。
その中から美味しそうな生チョコをひとつつまむ。
「ん〜っ!おいしぃ〜!!」
「ぷっ。」
幸せな顔で、とろけていたら、誰かに笑われた。
慌てて辺りを見回すと、いたのは佐野。
「相変わらず、チョコ好きだな。」
「ま、まぁね…。」
なんだか、あれ以来気まずくて、素っ気ない態度になってしまっている私。
けれど、そんな私に気づくこともなく、彼は続ける。
「で?俺のチョコは??」
ぎくり。
って言葉が似合うほどの反応を示して、肩が上がる私。