チョコレートと甘い罠
「まさか‥‥ないわけ‥‥?」
びくっ。
肩を少しだけあげて、俯く。
佐野はきっと、嫌な目つきで私を見ているのだろう。
恐る恐る、佐野の顔を伺う。
けど、そこにあったのは、ひどく傷ついたような、悲しげな佐野の顔だった。
「佐野‥‥?」
「もういい‥‥。」
ふいっと、そっぽを向いてそのまま席についてしまった。
(‥‥佐野。)
なんだか心が痛くて、その日の授業は身が入らなかった。
メニュー