ホワイトデー最終決戦


 流行りの歌が流れる明るい店内はそこそこ込み合っていて暖房が熱いくらいに感じる。
俺は早速上着を脱いで左腕に持った。


「和歌、何食う?」

「家でご飯食べないと怒られるからなぁ。太るし。紅茶とかでいいや」

「俺だって家でも食うぞ?」


ハンバーガーとポテトのセットと和歌の分の紅茶を頼む。

いつの間にか席を探しに行った和歌が俺に向かって手を振っていた。

注文がそろったところで、それを受け取って和歌の方に向かった。

窓際の奥の席とはついてる。
ここならあんまり人目にもつかないしゆっくり出来そうだ。


「和歌も食えよ。ポテト」

「うん。アリガト」


目をあわさずに、軽い返事が返ってくる。

俺が告白したあの時から、和歌はたいして変わらない。
今までのように話しかけ毒づいて笑う。

むしろもう少し意識されれば自惚れられるんだが、ここまで変わられないともうなんか完全対象外なのか? とか思ってしまう。

ホワイトデーまで後二週間。

あんな大見栄きってはみたけれど、本当はどうしたら和歌を振り向かせられるのかわからない。
ああもう、本当に相談が必要なのは俺だろ。


「ねぇ」

「ん?」


結局うまく話すことも出来なくて、ハンバーガーをほおばる俺に向かって、ストローを加えたまま和歌が話しかけてくる。

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