ホワイトデー最終決戦
「克司と春香って、結局どうなってんのかな」
「どうって……見た通りじゃねぇ」
「春香、私に気を使って話さないんだよね」
そう言って、ぱたりとテーブルに突っ伏す。
色素の薄い細い髪がさらりと揺れ、卓上に広がった。
触ってみたくて手を伸ばすと、いきなり顔を上げられて心底びっくりした。
「やだなって思うんだよ」
「うん?」
「目の前でさ、仲良くされたらへこむじゃん。でもさ、気を使われてんのもなんか悔しいんだよね」
そう素直に語る和歌は唇を尖らせ眉を寄せている。
まるで拗ねているような顔だ。
「私、春香も克司も好きなのにさ。……なんでこんなんなってんだろ。最近、春香が楽しそうに笑ってるの見てないんだよ。それも私のせいじゃん?」
「別にお前の所為じゃないだろ」
「違うよ。私がお邪魔虫なんだもん。だって心の中では、確かに二人が付き合ってることに嫌だなって気持ちあるんだもん。いくらいい子ぶってみても無理。心からなんて応援できない。してないんだと思う」
「和歌」
「私だっていい子になりたいけどさぁ。そんな簡単じゃないもん」
和歌の拗ねた顔にうっすら浮かぶ涙。
もう何度目かわからないほど貫かれる俺の心臓。
馬鹿じゃねーのか、ホントに。
お前がそんなに気にすることねーんだよ。
自分で言ったんだろ、一番不幸なのは自分だって。