ホワイトデー最終決戦
思った瞬間に、教室に飛び出していた。
「おい」
「あれ、ようす……」
振り向いた和歌を、春香から引き離す。
今現実に、泣きそうになっているのは春香の方。
でも、きっと心がズタボロになってるのは和歌の方だ。
「いい加減にしろ」
俺は春香を睨む。
一般に癒し系だと言われる大人しい春香を。
和歌が望んでいようといまいと、俺は和歌を守る。
何の見返りが無くてもいい。
「春香は克司が好きなんだろ。だったら遠慮なんかすんな。いい子ぶるのやめろよ」
「洋介くん?」
「和歌の気持ち、分かってんのかよ。なんでこいつがお前にそんな事言ってやらなきゃならないんだ」
「ちょっと、洋介」
和歌が、俺の腕を引っ張って止めようとするので、振り払うようにして制した。
俺は嫌なんだよ。
和歌に、こんな事させるのは嫌なんだ。
「和歌は、相手が春香だから諦めたんだろ。それくらいの事わかんねーのかよ。なのに、気を使われたんじゃ余計辛いに決まってるだろ!」
和歌の手の動きが止まった。驚いたように俺を見上げ続けている。
「和歌は、好きな男をそんなに簡単に諦めるような女じゃない。春香なら仕方ないってそう思えたから、だからお前らの背中押したんだろ。お前がしなきゃいけないのは遠慮することじゃない。和歌を諦めさせてやることだ」