ホワイトデー最終決戦
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 高二の春、去年の友達とはみんなクラスが離れてしまって、ちょっと途方に暮れた新学期。

同じ剣道部の克司の姿を見つけた時はかなりホッとした。

克司はバカだけど、顔が良くて愛想がいいので男も女も関係なく友達が多い。
その時も女の子と楽しそうに話していた。

邪魔しちゃ悪いかなと思いつつ、俺は俺で心細い。
とにかく唯一気が許せそうな克司に話しかけたのは当然の事だったろうと思う。


「よう、克司。同じクラスだな」

「おう、洋介」


朗らかに返事をする克司に対して、脇にいた女子からは小さな敵意を含んだ視線を感じた。

丸顔に薄い黒のショートボブ。日の当たり具合によっては茶色に見えるくらいだ。
彼女は気の強そうな瞳でこちらを見て不貞腐れた顔をする。

これが和歌。

今思えば、『なんで私が話してんのを邪魔すんのよ』ってなところだったんだろう。

その時は和歌が克司を好きだなんて知らなかったから、なんでこんな顔されるのか分からなかった。

克司と和歌は仲が良かった。聞けば去年も同じクラスだったんだと言う。
去年は違うクラスだったという和歌の親友、春香と俺とを交えて、仲はますます良くなっていった。


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