ホワイトデー最終決戦

言った。
何処の熱血乙女野郎だよって感じの、恥ずかしいくさいセリフ。

言い切ったら気が抜けて、一気に体中が熱くなってくる。
今俺、多分耳まで赤い。

それとなく耳を押さえて和歌と春香を見れば、俺の事はそれほど眼中に無く、二人で見つめ合っていた。


「和歌……」

「ごめん、春香。もう好きじゃないなんて嘘だよ。だってさ、一年半もずっと見てて。だから本当は辛いし悲しいんだけど。でも今のまんまもイヤなんだよ。……春香と克司がぎこちないの、私のせいかなって思って」


和歌が震える声を出す。泣いているのかと心配になったが、涙まではこぼれていない。


「私、早く克司を諦めたい。だから……敵わないって思うくらい、お似合いになってよ」

「和歌、ごめん、ごめんね」


春香が泣きながら、正面にいる俺を押しのけて和歌に抱きついた。
そこで和歌も堪え切れなくなったのか、一緒に泣きだして、さながら俺が二人を泣かせたかのような状況になる。


もう何でもいいや。
これで和歌が少しはすっきりするんなら、俺は悪者でも何でも構わない。

俺は近くの椅子に腰かけて、二人が泣きやむのを待った。
先に泣き止んだのは和歌の方で、春香の背中を撫でながら、俺の方を見てにこりと笑った。


……だからさ。
潤んだ瞳でそういう顔するのって殺人的だって思わないか?


なぁ、和歌。
俺って意外といい奴だろ?

それに俺はしつこい。多分一度振られたくらいじゃ和歌の事を諦めない。
だから頼むよ。

俺のことを好きになれ。

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