ホワイトデー最終決戦
4.ホワイトデーのお返しは
憂かれ気分の克司、ようやくその気になった春香。
傷心の和歌に微かな期待にすがる俺。
どんな思いを抱えていたところで、十四日は誰にでも等しくやってくる。
三倍返しのプレゼントは、結局思いつかなくて。
好きだという気持ちを表すというキャンディを大量購入して瓶詰めした。
十センチくらいの高さのある瓶で、六十個くらいは詰まったかな。
結局、俺は俺で和歌を誘い、克司は春香を誘った。
だから今日は別行動。
あいつらなんか関係ねーよって思っていたのに。
現在待ち合わせ場所の駅前公園入り口。
先についていたらしい和歌は、公園の入口から、公園内の噴水前で談笑する克司と春香を見ている。
ああもう。なんでよりによって同じ時間に同じ場所で待ち合わせしているんだ。
根回しが足りなかった。
俺も余裕がなさすぎる。
ラブラブな克司と春香は、俺達がここにいるなんてことにはまるで気づいていない。
公園内をプラプラ歩きながら手をつないで、反対側の入り口へと向かって歩き出す。
そちらは駅に近い出口なので、あいつらはこれから電車にでも乗るんだろう。
和歌は後ろに来ている俺には気づかずに、あいつらを食い入るように見つめている。
その横顔は寂しそうで、やっぱり和歌はまだ克司を好きなんだなと思わされる。
ジリジリと焼けつくような痛みを感じる俺は、やっぱり和歌のことが好きで。
息を潜めて近づいて、後ろから彼女の瞳を手のひらで覆う。