ホワイトデー最終決戦
俺は目を丸くして和歌を見つめた。
対して彼女は恥ずかしそうに頬を染めて笑う。
「多分ね、洋介を一番好きになるよ。……今すぐは無理だけど、でもそう遠くない内に……」
「……っ」
可愛い。
破壊力ありすぎだ。
俺は、自分の理性を過信していた。
同意を貰う前から無謀な行動などしないって。
誰に謝ったらいいのかわからないけどとにかくごめん。
でも体が勝手に動いちまったんだ。
「え……」
和歌の戸惑いが言葉になる前に、彼女の後ろ頭を抑えて唇を寄せる。
重なる唇は、飴をなめていたから少しベトついていた。
もうここまでしちゃったらいっそ、と。驚いて叫びそうになっている彼女の口から、飴を奪い取る。
「……こっちもらう」
「なっ……なっ……なっ。よ、洋介の変態っ」
和歌はわなわな震えながら、俺を突き飛ばした。
変態で結構。
そんな可愛い顔して近づいてくるのが悪い。
「ひ、酷いよ」
「いつか、俺が好きになるならいいだろ」
「今じゃないって言ってんじゃん」
「うるせぇ。辛子チョコの仕返しだ。三倍で返すって言ったろ」
「三倍じゃきかないよ。私っ、ふぁ、ファーストキスなんだから!」
「え? マジ」
思わず緩んだ俺の頬を見て、和歌が更に怒りだす。
腹に右ストレートが入った。
「信じらんない、サイテー」
「げふっ、……わ、分かった。悪かった、悪かった」
叩かれた腹が痛くても、顔はにやけて戻らない。