ホワイトデー最終決戦
2.お人好しの苦労性
薄暗くなった帰り道。
俺は学校近くのタコ忠でたいやきを買い、克司と一つずつほおばりながら相談とやらに耳を傾けていた。
「……で?」
「あの日俺はちゃんと春香に告白したんだぜ? で、春香も頷いてくれて、和歌の作ったとかいう強烈なチョコレートをくれた訳」
「ああ」
唐辛子と塩コショウの入ったやつな。俺も食ったけど、かなり微妙な味だった。
「お前アレ完食したの」
「いや。春香がそのチョコの味に気づいて、コンビニで新しいの買ってくれた」
「あっそ」
根性なしめ。
俺は食ったぞ。和歌からもらった義理のゲテモノチョコ。
「でさ、俺たち両想いな訳じゃん。だけど、あの日のデートだってどこか浮かない調子だしさ。学校ではあまり話しかけるなとか言われちゃうしさ。……俺、付き合ってる認識でいるんだけど、春香にとってはそれもどうなのかなぁって不安に思い始めて」
「じゃあ付き合ってねえんじゃねぇの?」
途端に克司が頭をカクンと落とす。
冷たく言い放ってみるものの、あまりにしょげられると可哀相だな。
「……お前はもう少し周りをよく見るべきだ」
「周り?」
そう言われて本気できょろきょろとあたりを見渡すあたり、こいつは真正のバカだ。
本当になんで克司なんかがいいんだよ、和歌。