ホワイトデー最終決戦
「そういう意味じゃねぇ……」
説明しようとした時に、脇の道から二人組の女の子がでてきた。
和歌と春香だ。
ショッピングでもしていたのか、雑貨屋の袋を手に持っている。
「あ、克司、洋介」
和歌が笑って手を振る。
先に出た名前が克司であることに若干の苛立ちを感じながら隣の春香を見ると、気まずそうに目を伏せている。
そして、自分の隣の克司を見れば、もう目は春香にくぎ付けになっている。
ああ、見えてねーんだよ。周りが。
克司は吸い寄せられるように春香の隣にいくが、春香は一歩後ずさる。
ぎこちなさすぎだろう、お前ら。
ああもう! なんで俺がこんな無駄にイライラしなきゃならねぇんだよ。
二人の空気感に気づいた和歌が、渋い顔をする。
おいおい。
お前が気を使ってやることは無いんだよ。
そこまでお人好しにならなくていいんだ。
そう思ったのに、和歌は笑顔で克司の背中を叩いた。
「克司、春香を送ってやってよ。私たちの買い物、丁度終わったところなんだ」
「おお! そうか。俺たちも部活終わったとこなんだ。行こうぜ、春香」
「うん。……でも」
「行きなよ、春香」
「……うん」
春香はすまなさそうな顔で、克司の後をついて行く。
調子に乗った克司が手を握ろうとするけれど、敢え無く振り払われているのが見えた。