ホワイトデー最終決戦
「でも手にたいやき持ってるじゃん」
「これは甘いから腹にたまらないんだ。マックとか行こう。まだ時間あるんだろ」
手に持っていたたいやきを無理やり腹に詰め込んで、和歌を促す。
「あるけど、……おごり?」
上目づかいで、俺を見上げる。
その表情は破壊的であるが、俺のプライド的に狼狽した姿は見せたくない。
普通に優しくするのは難しくて、憎まれ口を叩いてしまうのは。
分かったような顔してても俺もやっぱりガキってことか。
「つけといてやる」
「は? なにそれ」
「貸しにしといてやるって言ってんだ。ほら、来いよ」
有無を言わさず和歌の手を引っ張る。
「ちょっと!」
和歌はぎょっとして手を離そうとするから、その前に手首をしっかりホールドする。
知るもんか。
俺だってあんまり余裕ねぇんだ。
ホワイトデーまでに、お前を気持ちを動かさなきゃならねぇんだからな。