かさぶた




「委員長は来年も委員長してるんだろうねー」

「そ、うね。
またきっと押しつけられると思うわ」

「押しつけるとか、そんな。
委員長がしっかりしてて、仕事が丁寧だからだよ!」

「そう言ってもらえると、……嬉しい」



なんてことない会話をしながら、彼の表情に、仕草に、目がいってしまう。



もうすぐ、お別れなのね。

私がずっと好きだったとしても、変わらない距離なんでしょう。

それしか、ない。



ああ、だけど。

明るいところも、優しいところも、笑顔も、みんな。

みんな憧れて、……好きで。



ねぇ、好きよ。

私、あなたが好きなのよ。






「……岡村、くん」

「んー、なにー?」

「私、ね、……ずっと言いたいことがあったんだけど、いい?」

「え、なんだろう。
お説教はやめてね?
このパーカーはおれの一部だから手放さないよ?」



馬鹿ね、違うわよ。

ゆっくりと微笑んで首を振るも、……だめ。

頬が緊張で強張っている。






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