かさぶた
「彼女、いたんだ……」
当然、よね。
周りにあんなに人がいて、それなのに悪いように言われないような裏表のない性格で、真っ白。
嫌われることなんてありえない人気者。
彼女がいない方が不思議なくらいだもの。
あの様子からして、きっと仲もいいんでしょう。
でも、じゃあ、私はどうしたらいいの?
好きな人が幸せだったら、それで十分なんて思えない。
そんなに私は大人じゃないし、自分の気持ちで手一杯。
性格、悪いの。汚いの。
仕方がないじゃない。
今まで見たどんな教科書にも恋がこんなに痛いものだなんて、載っていなかった。
私が理系だから知らないの?
わからないの?
文系なら、岡村くんと一緒だったら……わかることができたの?
「っふ、……ぅ……、」
溢れた嗚咽で息が苦しい。
ぽろぽろとこぼれていく涙が眼鏡のレンズに落ちる。
口元を必死に押さえても、漏れてくるのは私の恋心。