かさぶた
鈍痛
◇
職員室で告げられた言葉に、くらり。
思わず目眩がする。
「……先生、それ本当ですか」
「ああ、そうだよ。
岡村とふたりで頼むな」
震える声で尋ねても、答えが変わることはなく。
私と岡村くんは、卒業式にクラス代表として出席することになった。
他校がどうかは知らないけど、私たちの高校では1クラスに男女ひとりずつ卒業式に出席することになっている。
でも、卒業式さえ出なければ学校は休みということもあって、なかなかみんな出席したがらない。
仕方がなく、女子は委員長である私になって、男子は保留だったんだけど……。
先生がまさか独断で決めた人が、よりによって岡村くんだなんて。
「あいつならサボらないし、野々宮もひとりじゃないから楽だろ。
それにあいつとはまだ比較的、会話をしてるじゃないか。
そのまま距離を縮めたらどうだ?」
ああ、なるほど。
そういうことなの。
クラスの人との距離がある私を先生なりに気づかって……ついでにどうにかならないかなと岡村くんに託したわけね。
迷惑だわ。