かさぶた
「……これでもう、卒業式まですることはなくなったわね」
「そうだねー」
「もう式まで1週間よ。
来年は私たちの番だなんて、想像つかないわ」
薬剤師という進路も決めて、私は1歩ずつそのためへの道へと歩んでいる。
だけど、ふとした瞬間にこれでよかったのかなと思うことがある。
この道で私はよかったのだろうか、向いているのだろうか、後悔はしないだろうか。
呼吸をするように自然と、そんな不安が浮かびあがってくる。
未来は見えない。
だから、動くことが怖くなる。
少しずつ、自分の将来についての選択肢が減っていく。
変更ができなくなる。
それが大人になるということなら、大人はなんて怖いのかしら。
3年生はもうそんなことを思うこともなくなっているのなら、私はいつそんな風になれるの?
大人っぽいとか、計画性あるとか。
そんな評価はいらない。
本当は、委員長らしい、委員長を装っているだけなのに。