かさぶた
「なるようになるんじゃない?」
「え?」
「おれ、まだなーんにも決まってないよ。
多分、意外とどうにかなるって」
大丈夫大丈夫ーと笑いながら、そばにあった自販機に駆け寄る。
緩すぎる発言と行動に、思わず脱力。
だけど、それを自然とできてしまう……私とは違う岡村くん。
だから、憧れる。
だから、愛しい。
「はい、委員長!」
手渡されたのは、手袋の上からでもじんわりと伝わる熱。
……缶コーヒー。
彼の手の中には甘ったるそうなココアがある。
「奢りだよー。
これ飲んだら、心配性の委員長も考えすぎて頭パンクすることはない!」
そんななんの保証もない、逃げとも思える言葉も受け入れられる。
素直な気持ちで受け止められる。
「……ありがとう」
「うんうん、平気。
先輩たちもギリギリまでなーんにも決めてなかったみたいだし」
ああ、ここで彼女さんが出てくるあたりが岡村くんなのよね。
いつも私の心にブレーキをかけるのは、あなた。